ハワイアンソング|ジョージ・ヘルムのファルセット・ボイスを聴く

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ハワイアン・ミュージックが好きな方、ジョージ・ヘルム(George Helm)を知っていますか?

「ライアティア・ヘルム(Raiatea Helm)の叔父だということは聞いたことがある」
「でも音楽を聴いたことはないし、よく知らないなあ」
そんな感じが多いんじゃないでしょうか。

では『ハワイアン・ソウル』(Hawaiian Soul)という曲は知っていますか?

マウアナルア(Maunalua)、ピーター・ムーン(Peter Moon)、テレサ・ブライト(Teresa Bright)などなど多くのミュージシャンが歌っている名曲です。
実はこの曲、ジョージ・ヘルムに捧げられた曲なのです。

ジョージ・ヘルムは1977年に26歳のときに、海で遭難し帰らなくなった歌手です。

  • どんな人だったのか?
  • なぜ海で遭難したのか?
  • 『ハワイアン・ソウル』はどんな歌なのか?

ハワイアン・ミュージック好きなら知っておきたい「伝説の歌手ジョージ・ヘルム」についてご紹介します。

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伝説の歌手

ジョージの歌声を初めて聴いたとき、ライアティアのあのファルセットがストンと納得できた気がしました。
女性が歌っているのかと勘違いするようなファルセット・ボイスなのです。
とても透明感があり、でも力強い芯のある歌声。
彼が歌で届けようとしていることが、こっちにきちっと伝わってくるのを感じるのです。

ジョージは1950年にモロカイ島カラマウラで生まれたネイティブ・ハワイアンです。
(カラマウラはモロカイ島唯一の繁華街カウナカカイの近辺らしいですが、調べても正確な場所はわかりませんでした。住む場所のなくなったネイティブ・ハワイアンのための特別居住区のようです)

高校生のときにホノルルの学校に転校し、音楽の道を歩み始めました。
音楽理論、ハワイ語の歌詞の意味、カオナ(歌詞に隠れた裏の意味)を学び、プロミュージシャンとして活躍するようになったのです。

ジョージが残したアルバム『トゥルー・ハワイアン』(A True Hawaiian )は、ホノルルのレストラン「ゴールド・コイン」での演奏を録音したものです。

もともとアルバムを作ろうとして録音したものではなく、単に記録として録音していたものです。
ジョージが海で遭難した後、彼の歌声を残したいと思ったレストランのオーナーが、その音源を元に制作し2枚組のLPとして発表したのです。

1996年にはCDで復刻版がリリースされました。
LPに収録されていた28曲から24曲を選び1枚のCDに編集したものです。

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CD1枚分の時間制限内に収めるため割愛されたのは以下の4曲です。

  • Kaulana ʻO Hilo Hanakahi
  • Ka Ua Loku
  • E Kuʻu Morning Dew
  • Hanalei Moon

CD収録曲だけでも、ジョージの歌声が聴けることは本当に貴重でありがたいです。
でもいつか完全版のCDがリリースされればいいなあと思ったりします。
(『Ka Ua Loku』こんなゆらぎを込めた歌い方、ちょっと他では聴いたことがない感じがします)

YouTubeにはジョージの映像、歌声がいろいろとあります。
CDの1曲目でもある『Kalamaʻula』でジョージの歌声を聴いてみてください。

海に眠るハワイの魂

では、なぜ、ジョージは海で遭難してしまったのでしょうか?

ジョージの生まれたモロカイ島は、ネイティブ・ハワイアンが多い島です。
そしてジョージもネイティブ・ハワイアンであり、ハワイ文化を守るネイティブ・ハワイアンの活動家でした。

当時アメリカ軍が演習場として接収していた島があります。
カホオラヴェ島です。
ハワイ8島の中で一番小さい島ですが、爆撃の演習場として使われたためボロボロになってしまいました。

カホオラヴェ島

このカホオラヴェ島をハワイ人の手に取り戻そうという動きが、1976年に起こったのです。
無断で上陸して調査を行ったりの活動をしていました。

ジョージもこの活動の主要メンバーでした。

1977年3月、ジョージは先にカホオラヴェ島に上陸していた2人の仲間を連れ戻すため、3人組で上陸したのです。
でも、仲間はアメリカ軍に捕まっていたため、見つけることができませんでした。

仲間を連れ戻せないジョージたち3人はマウイ島に戻ろうとしたのですが、その途中、ジョージともう1人の仲間が波に飲まれてしまい海に消えてしまったのです。
1977年3月7日のことです。
27歳となる誕生日3月23日まで、あと16日というときでした。

『ハワイアン・ソウル』

あなたは海に消えたんじゃない。
ただ彷徨っているだけ。

と歌う『ハワイアン・ソウル』。

私はピーター・ムーン・バンドのCD『Cane Fire』に収録されているので初めて聴きました。
曲の意味・背景は全然知らなかったのですが、イントロから最後までの美しいメロディ、とにかく優しく穏やかに語りかけるような歌声、めちゃくちゃ大好きな曲になりました。

(『Cane Fire』は他にも素晴らしい曲がいっぱいです。ぜひ聴いてみてほしいCDです)

アーティスト:ピーター・ムーン・バンド, 演奏:ピーター・ムーン・バンド

ずいぶんと時間が経ってからジョージのことを知り、ジョージを追悼するために『ハワイアン・ソウル』が作られたことを知り、歌詞の真の内容を知りました。

歌詞全編からジョージ・ヘルムに対する追悼の気持ちが溢れているのが伝わってきます。
ここに歌詞をのせることはできませんが、ネットで調べると見つけることができます。
興味を持たれた方はぜひ検索してみてください。

作ったのはJohn OsorioとRandy Bordenです。
私の勉強不足で2人のことは知りませんが、曲は今やハワイアンのスタンダードといっていいと思います。

YouTubeにもたくさんアップされています。
その中にジョージの姪であるライアティア・ヘルムが歌っているのが見つかったので貼っておきます。

まとめ

今、ジョージ・ヘルムの名前を聞くことはめったにありません。

でもこんな伝説の歌手がいたことを知っておいてほしい。

『ハワイアン・ソウル』を聴くとき、歌うとき、ジョージのことを心においてほしい。

そんな気持ちからこの記事を書きました。
ぜひジョージの歌声、『ハワイアン・ソウル』を聴いてみていただけたら嬉しいです。

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