ワイキキビーチにはいくつもの銅像が立っています。
その中でも一番有名なのは、サーフボードの前で両手を広げ立っている像じゃないでしょうか。
交番近く、カラカウア通りからワイキキビーチが見渡せる場所に立つワイキキビーチの象徴です。
絶好の写真スポットでもありますよね。
この銅像、誰だか知っていますか?
答えは「デューク・カハナモク」です。
名前を知っている方はいるかもしれませんね。
でも「デュークがどんな人だったか?」は知っているでしょうか?
「知ってるよ。サーファーでしょ」
と言う方もいるかもしれません。
でもそれはデュークのひとつの面でしかありません。
ワイキキビーチに立つ「デューク・カハナモク」とワイキキビーチに潜んでいる関係を探ってみましょう。
デューク・カハナモクはどんな人だったのか?
まずデューク・カハナモクは、どんな人だったのでしょうか?
背中にサーフボードがあるので、サーファーだったことは間違いありません。
でも単なるサーファーだけではないのです。
- 水泳選手として3回オリンピックに出場し、金メダルを3個、銀メダルを2個とった。
- サーフィンをスポーツとして世界に紹介した。
- 俳優としてハリウッド映画に出演した。
いろいろな功績を持っている人だったんです。
水泳選手のデューク
1890年にオアフ島で生まれ、ワイキキビーチに海とともに育ったデューク。
やがて観光客を相手に水泳を教えたり、カヌーに乗せたり、サーフィンの技を見せたりして日銭を稼ぐ「ビーチ・ボーイ」となりました。
そんなデューク、水泳選手としてもすごい才能の持ち主でした。
1911年、ホノルル港で行われたオリンピックの代表選考レースに出場しました。
このときは海水でのレースだったのです。
そして100ヤード自由形で、当時の記録を4.6秒も縮める世界記録を樹立しました。
さらに220ヤードでも世界記録を、50ヤードでも世界タイ記録を叩き出したのです。
ただ残念なことにデュークの記録が世界記録として認められることはありませんでした。
「早すぎて信じられなかったこと」と「白人ではなかったこと」がその理由だったのです。
あからさまな差別があった時代だったのです。
そんなこともありましたが、オリンピック代表の座はつかむことができました。
1912年のストックホルム・オリンピックに出場したのです。
その結果、「100m自由形で金メダル」「4×200mリレーで銀メダル」と見事にメダルを獲得したのでした。
1920年のアントワープ・オリンピックにも出場し、「100m自由形で世界新記録で金メダル」「4×200mリレーで金メダル」を獲得しました。
さらに1924年のパリ・オリンピックで「100m自由形で銀メダル」を獲得します。
水泳選手として3回もオリンピックに出場し「金メダルを3個」「銀メダルを2個」獲得した水泳界の大ヒーローだったのです。
ちなみに1932年のロサンゼルス・オリンピックには水球選手(補欠)として出場し銅メダルを獲得しています。
20年もの長期に渡り4度もオリンピックに出たって「スゴイ!」のひとことですね。
サーフィンのデューク
サーフィンは古代ポリネシアの時代(西暦400年ころ)に発祥したとされています。
しかし、とある理由により禁止されていたのです。
ハワイと関係深いクック船長がサーフィンを見て「宗教の妨げになる」といちゃもんをつけ、サーフィンを弾圧してしまったのです。
「えっ、なんで?」ですよね。
ハワイ語もフラも同じですが、他の文化を尊重することなく力で弾圧するのってどうなんでしょうか。
そんな事情はありましたが、幼少より海で遊び育ってきたデュークはワイキキビーチでサーフィンの腕を磨いてきたのです。
そして水泳競技を引退後は、本格的にサーフィンを世界に広げていく活動を行なっていきます。
もともと世界各地でサーフィンのデモンストレーションを行っていたのですが(最初はオリンピック中のストックホルムでした)、ヨーロッパ・アメリカ・オーストラリアの人々にサーフィンの素晴らしさを伝える活動を行なっていったのです。
当時のサーフィンボードはロングボードで長さは4.8mもありました。
材質もハワイアンコア(家具やウクレレで有名ですね)で重さは52kgもあったとか。
サーフィンを普及させた功績によりデュークは「現代サーフィンの父」と呼ばれるまでになったのです。
『THE RIDE』という映画(2003年)があります。
サーフィンをしている青年が1911年にタイムトリップしてしまい、そこでデュークに会うという内容です。
かなり前に観たので細かい内容は忘れてしまいましたが、デュークの生きていた時代と当時のサーフィンがみれて結構面白かったと記憶しています。
ちなみにサーフィンはハワイ語で「ヘエ・ナル」といいます。
「heʻe nalu」と書きます。
「heʻe」が「滑る」で「nalu」が「波」という意味で、昔のハワイでは王族にしか許されなかった神聖なものでした。
有名なハワイアンソング「カイマナヒラ」の2番で「パパ ヘエー ナール」と歌われてますよね。
映画俳優のデューク
水泳競技引退後には映画俳優にもなってハリウッド映画にも出演したのです。
調べてみると以下の3作品がみつかりました。
- 海のロマンス(1929年)
- 海港の娘(1930年)
- 逃走の島(1930年)
30本を超える映画に出演したとのことなので、興味がある方はぜひ探してみてください。
俳優をやりながらも、その人脈でサーフィンを広める活動も行なっていたようです。
デュークに関する映画として上で『THE RIDE』を紹介しましたが、他にも『WATERMAN』(2021年)という映画があります。
これはデュークのドキュメンタリー映画です。
いろいろ探したのですが、アマゾン・プライムビデオでもDVD等でも見つけられませんでした。
(amazon.comには見つかりましたが・・・)
観れるようになったら絶対に見たい映画です!
映画のHPのリンクは「waterman film」なんかで検索すると出てきます。
本物のデュークに会えますよ!
デューク・カハナモクとワイキキビーチ
デュークがどんな人だったかを、さらっと簡単に記しました。
次はデュークとワイキキビーチの関係についてです。
ワイキキビーチの位置関係については別の記事がありますので、よろしければ参考にしてください。
オアフ島の独断ビーチガイド サウスショア編(ワイキキビーチなど)
デューク・カハナモク・ビーチ
ワイキキビーチは細かく分けると8つのビーチに分かれます。
そのひとつヒルトン・ハワイアン・ビレッジの前のビーチは「デューク・カハナモク・ビーチ」という名前がつけられています。
きれいな砂浜とラグーンで、ヒルトンに泊まってなくても散歩するのがとても気持ちいいビーチですね。
なぜデュークカハナモクのビーチと名前がついているのでしょうか?
このあたり、デュークの母方の一族が住んでいて祖父の家が近くにあったことに由来しているようです。
デュークが育ったのは、まさにここの海だったのです。
今度デューク・カハナモク・ビーチに行ったら、デュークの面影を偲んでみませんか。
ナタトリアム
ワイキキビーチのクイーンズ・サーフ・ビーチとサン・スーシ・ビーチの間くらいのところに廃墟みたいな建物があるのを知っていますか?
なんか近寄ったらダメっていう雰囲気があるので、記憶にない方が多いんじゃないでしょうか。
ここは「ウォー メモリアム」として第一次大戦に従軍した兵士を称えるために造られたものです。
近づかないとわかりませんが奥には「ナタトリアム」があります。
(ナタトリアムとは競技水泳やトレーニングによく使われるプールのことです)
1927年に完成した海水プールは100m×40mもの大きさがあり、デュークもよく使っていたとのことです。
ここでのトレーニングがオリンピックでのメダルに繋がったのでしょうか。
横のビーチではライフガードと思われる人たちがトレーニングなんかをしています。
そういえばデュークは船の転覆で海に投げ出された人を、サーフボードを使って8名の命を救ったことがあります。
サーフボードを使っての人命救助は世界初のことでした。
それがきっかけでライフセービングの発展にも寄与しているのです。
デューク・カハナモク像
1990年、デュークの生誕100年を記念してデューク・カハナモク像が建立されました。
数知れずの功績をもち、ハワイの人々に愛されたデューク。
ワイキキのハワイのシンボルとも言えるデューク。
ハワイにはたくさんの像が立っていますが、ひときわ目立つ場所に両手を広げて、アロハでみんなを迎えてくれているデューク像はちょっと別格な気がします。
このデューク像の前ではみんなが笑顔で写真を撮っています。
デューク・カハナモクを知っている人も、デューク・カハナモクを知らない人も。
「This is Aloha」という感じです!
そういえばこの像の前にはワイキキライブカメラがありました。
今はスマホでビデオ通話が簡単にできますが、昔はライブカメラで擬似ビデオ通話をしてました。
「○日○時にデューク像前に行くから」と約束しておいて、その時間に電話しながらライブカメラにむかって手を振ったりしたものです。
まとめ
ワイキキビーチに立つデューク・カハナモクはハワイの象徴です。
少しでもデュークがどんな人だったのか、どんな功績があったのか、知っていただけたなら嬉しいです。
そしてデュークはネイティブハワイアンの誇りでもあります。
今もいろんなところにデュークの痕跡が残っています。
次にハワイに行ったとき、ちょっとだけ気にかけて歩くと今まで知らなかったデュークに会えるかもしれませんよ。
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