ハワイアンソング、どんなことを歌っているか知っていますか?
ハワイ語で歌っている歌詞にも、当たり前ですが意味があります。
文字通りの意味もあれば、裏に隠された意味もあったりします。
歌が作られた時代を背負っていることもあるのです。
あまり語られることのないハワイアンソングの意味を知りたいと思いませんか?
ハワイアンソングの歌本には日本語訳ものっています。
でも日本語の歌詞を読んでも、いまいちピンときません。
なにを歌っているのか、もっと意味を知りたい。
ハワイアンソングの意味を知って、心を込めてその歌を歌いたい。
そんなときにおすすめの一冊があります。
『101曲のハワイアンソング』です。
『101曲のハワイアンソング』とはどんな本か?
『101曲のハワイアンソング』は『Nā Mele O Hawaiʻi Nei』の日本語版です。
『Nā Mele O Hawaiʻi Nei』は1970年にハワイで出版され、日本語版として2007年に出版されました。
収録されている曲はちょっと古く、1950年代から1968年に作られた101曲です。
ハワイ文化・音楽・言語に精通したサミュエル・エルバートとノエラニ・マホエの共著となります。
ハワイ音楽のなりたちとしてハワイ語の言語的な解説からはじまり、101曲のハワイアンソングについてハワイ語と翻訳と解説がされています。
ハワイアンソングのカオナ(歌詞の隠れた意味)についても触れていて、裏の意味を探っていく手がかりにもなると思います。
英語版と日本版を比べると、
- 英語版はペーパーバックのため小振りで薄いです。日本語版はソフトカバーで厚みもあり立派です。
- 英語版のページ数は110ページ、日本語版は212ページ。
- 英語版は大きな章でしか改ページがなくちょっと見ずらい感じです。日本語版は章ごと・曲ごとに改ページされていて、とても見やすいレイアウトです。
- 日本語版には訳者によるハワイコラムがいくつか挿入されています。
- 日本語版にだけ「ハワイ語の文法基礎」「ハワイ王朝の概要」の資料があります。
などの違いがあります。
英語がよほど堪能でないかぎり、日本語版の方がおすすめです。
『101曲のハワイアンソング』で知る歌の意味
ハワイアンソング101曲はテーマによって分類されています。
ハワイアンソングをテーマで分類
収録されている曲は1950年代から1968年に作られた101曲で、まず「トラディショナル・ソング」と「クリスマスソング」に分類されています。
「トラディショナル・ソング」はさらに「ラブソング」「場所を称える歌」「人を称える歌」などの15個のカテゴリーに分類されています。
ただしハワイアンソングは重複した意味を持つ場合もあるため、そのカテゴリーの意味しか持たないとはかぎりません。
どのように曲が解説されているか
実際にはどのようなことが書かれているのでしょうか。
どのような内容になっているのか、わたしからの補足を少し入れて3曲紹介します。
アヒ・ヴェラ(AHI WELA)
まずは曲名の意味があります。
ハワイ語だと曲名が意味するところからわからないですよね。
この曲は『熱い炎』という曲名です。
この曲には新旧ふたつのバージョンの歌詞があり、その両方の歌詞と日本語訳がのっています。
日本語訳の歌詞はとても読みやすく自然な感じがします。
歌詞の内容は本当に熱い熱い直接的なラブソングです。
解説でも子供向けじゃないと書かれています。
以下はわたしからの補足です。
この曲はイズ(イズラエル・カマカヴィヴォオレ)でも有名な曲ですね。
ハワイでも結構人気だそうで、わたしも大好きな曲のひとつです。
ハワイ語だから歌えるけれど、意味を知ってしまうとちょっと歌うのが照れてしまいます。
カウラナ・ナー・プア(KAULANA NĀ PUA)
『子供たち(花たち)は有名』という曲名です。
曲は明るく軽快ですが、内容はめちゃくちゃヘビーです。
解説と歌詞から、ハワイがアメリカに併合されることに対して、真っ向から反対の意志を歌っていることがわかります。
以下はわたしからの補足です。
曲名にある「プア」が「花」というのは知っていましたが、「子供」という意味もあることを知りました。
YouTubeにもいっぱいでていて、おすすめはプロジェクト・クレアナ(Project KULEANA)のものです。
多くの有名ハワイアン・ミュージシャンが出演していて圧巻です。
歌の内容と背景を知ってプロジェクト・クレアナのYouTubeをみると、歌の重さが響いてきます。
ちょっと軽い気持ちで歌ってはダメだという気になってしまいます。
クʻウ・プア・イ・パオアカラニ(KUʻU PUA I PAOA-KA-LANI)
『パオアカラニに咲く私の花』という曲名で、リリウオカラニ女王がイオラニ宮殿に幽閉されていたときに作った曲です。
幽閉中、女王は新聞を読むことは許されませんでした。
でも、日々届けられる花束を包んでいたのが新聞でした。
そしてその新聞で外の状況を得ていたのです。
花束を新聞に包み届けていたのは、後にホノルル市長となったジョン・ウイルソンです。
単に美しい歌だけでなく、解説によってハワイ王国の最期に関わる背景をもった歌であることが理解できるのです。
以下はわたしからの補足です。
「パオアカラニ」とはリリウオカラニ女王の家につけられた名前です。
イオラニ宮殿から出られなかった女王が、行くことができなかった家のこと、みんなでやりたかったこと、そんなことを想いながら作った曲じゃないかという気がします。
この曲もYoutubeに数多くあります。
女王の気持ちを想いながら聴くと、また違った聴き方ができるのではないでしょうか。
『101曲のハワイアンソング』で演奏はできるか?
残念なことですが、この本だけでは楽器の演奏はできません。
ハワイ語の歌詞はあるのですが、コードも楽譜もないのです。
なのでこの本一冊で「ウクレレを弾きながら歌う」ということはできないのです。
本文中には「トラディショナルソングの多くは楽譜に書かれたことがない」といった記述がありました。
確かにハワイアンソングは歌い手によっていろんなバリエーションがあるので「これだ!」というメロディを書くことは難しかったのかもしれませんね。
まとめ
ハワイアンソングをハワイ語で歌うとき、発音はローマ字読みをすればそれっぽく歌えます。
でも何を歌ってるのかわからないまま歌うのは、ハワイ大好き人間としてはちょっと許せない感じがします。
また歌によっては、ハワイ人でない自分が歌うべきでない、歌っちゃいけない曲もあるんじゃないかと思ってます。
(本当にダメというわけではないですが、、、)
ハワイが大好きで、ハワイアンで歌われている内容について知りたい、と感じているんであれば手に入れて損はない本だと思います。
きっと、もっともっとハワイが好きになると思いますよ。
コメント