たまにはウクレレでジャズ気分を味わうのもいいもんです。
ハワイにも日本にも、ウクレレでジャズを演奏するプレイヤーはたくさんいます。
ジャズもスタンダードあり、スイングあり、ハワイアンソングやポップスをジャズアレンジしたものありといろんなものがあります。
ウクレレの音が、ハワイアンの音とは一味違った顔になり「こんな音もでるんだ!」っておどろくかもしれませんよ。
今回は次の3人のウクレレマイスターを紹介します。
- ハーブ・オータ
- ライル・リッツ
- キヨシ小林
CDや楽譜本(CD付き)で「ウクレレでジャズ」の世界にひたってみてはいかがでしょうか!
ハーブ・オータ(Herb Ohta)
ウクレレ好きなら絶対に名前は聞いたことがあるはずです。
ハーブ・オータ(Herb Ohta)、親しみを込めてオータサン(Ohta-San)と呼ばれることも多いです。
別名「ウクレレの神様」とも言われています。
1934年10月21日ホノルル生まれの89歳になります。
息子には同じくウクレレプレイヤーのハーブ・オータ・ジュニアがいます。
実際の演奏を聴いたこともありますが、朴訥とした感じでボソッと冗談を交えながらお話しする姿が印象的でした。(日本語ペラペラです)
いろんなジャンルの音楽をウクレレで表現していて本当にすごいです。
CDもいーーっぱいリリースしているので、どれがオススメって選ぶのはとても難しいです。。。
でもあえて3枚を選んでみました。
これ以外でもビートルズだけを録音したもの、バッハだけを録音したもの、などなどたくさんあります。
ウクレレ好きなら、どれでもいいのでぜひ聴いてほしいと思います。
マジカル・ウクレレ(Magical Ukulele)
オータサンの多くのCDの中で、僕が初めて買ったCDです。
確か2000年前後くらいだったと思います。
当時はウクレレメインのCDがとても数少ない時代で、見つけたら即買いしてました。
ジャズありポップスありハワイアンありの選曲ですが、ベースに流れているのはジャズだという感じがします。
僕が特に好きなのは『HAWAII』です。
この曲はオータサンが作った曲で石原裕次郎が気に入り録音しようとしたのですが、かなわなかった曲です。
目を閉じて聴いていると、ハワイの誰もいないビーチに波が寄せては返す景色が浮かんできます。
また『A FROSTY SILVER BALL』はクリスマスソングなのですが、なんとオータサンの歌声を聴くことができます。
僕が知っている限りオータサンが歌っているのはこれだけです。
とても珍しいと思います。
オハナ〜ウクレレ・デュオ〜(OHANA〜Ukulele Duo〜)
オータサンと息子さんのハーブ・オータ・ジュニアのウクレレ2本による共演CDです。
ハワイアンの曲オンリーですが、しっとりと聴かせてくれています。
やっぱり底のほうにジャズテイストが流れている気がします。
伴奏とメロディーの役割をきっちりと分けて弾いている曲もあれば、1曲のなかで伴奏とメロディーをかわりながら弾いてる曲もあり、自由自在に2台のウクレレが共演しています。
『アカカの滝』など何曲かでパーカッションの音が聴こえてきますが、これはオータサンがボディをたたいて出している音です。
また耳慣れない「カリカリ」とした音もあります。
ちょっとギロっぽい感じの音です。
これはオータサンが爪を指板上で滑らせて、フレットを擦って出している音です。
さりげなくいろんなテクニックを散りばめながら、親子2人ウクレレ2本で美しく奏でているCDです。
レジェンダリー・ウクレレ(LEGENDARY UKULELE)
このCDは奇跡の1枚といっていいと思います。
アルバムをレコーディングしようとしたものではなく、とあるホームパーティーでオータサンがウクレレを弾きまくっていたのをプライベート録音したものなのです。
1962年、28歳のオータサンがノリノリになった演奏なのです。
『スターダスト』から始まる全20曲。
High-Gウクレレを超絶テクニックで攻めまくり、これでもかこれでもかと押し寄せてきます。
タンゴの名曲『ラ・クンパルシータ』、たった4本の弦でここまで熱くなれるのかと驚きました。
1998年発売のCDで現在は廃盤になっていますが、中古が比較的入手しやすそうです。
今の円熟のオータサンとは違った、もうひとりのオータサンがここにはいます。
ウクレレという楽器の可能性がどこまでなのか、ぜひ聴いてほしいCDです。
ライル・リッツ(Lyle Ritz)
日本ではオータサンほど知られていませんが、ウクレレでジャズといえばオータサンよりもライル・リッツの方が有名かもしれません。
それくらいのレジェンドです。
1930年1月10日オハイオ州に生まれ、2017年3月3日に87歳で亡くなっています。
もともとはベーシストとして活動しており、多くの有名ミュージシャンの作品に参加しました。
フランク・シナトラ、レイ・チャールズ・ビーチボーイズ、モンキーズ、リンダ・ロンシュタット等々、オータサンとも共演したりデュオCDを2枚リリースしたりしています。
スタジオ・ミュージシャンとしての活動が長かったので、リリースした作品はあまり多くありません。
今回はその中から2枚のCDと1冊の楽譜本(CD付き)を紹介します。
ハウ・アバウト・ウケ?(How About Uke?)
1957年にリッツが初めてリリースしたジャズアルバムです。
おそらくですが、ウクレレでジャズを演奏した最初のアルバムじゃないかと思います。
リッツのウクレレ以外にはベースとドラムス、そしてフルートが入っています。
フルートというのがちょっと珍しいですね。
『Don’t Get Around Much Anymore』はウクレレとフルートのソロの掛け合いがいい感じでとても好きな曲です。
ウクレレ大好き人間だけでなく、普通にジャズが好きな人にも聴いてもらいたい気がします。
たった4本の弦で素敵なジャズを聴かせてくれるCDです。
夜、静かにお酒を飲みながらしっぽりと聴きたい、そんな気にさせてくれます。
タイム…(Time…)
ライル・リッツは6枚のジャズアルバムをリリースしています。
上の『How About Uke?』と翌1958年にリリースした『50th State Jazz』が有名ですが、この『Time…』は1995年にリリースした3枚目のアルバムになります。
2枚目リリース後はメインランドに渡り、スタジオミュージシャンとして活躍していた期間が長かったのです。
僕はこのアルバムのジャケットが好きなんです。
ウクレレのネックがグーッと曲がって裏側が道路になっている、どこまでも続いてる・・・
『Time…』というタイトルと合っている感じがするんですよねぇ。
ここではジャズ以外の曲もリッツアレンジで聴かせてくれます。
6曲目、なんと瀧廉太郎の『花』をウクレレのみで演奏しています。
耳にしたことのない『花』を聴いて、まぶたに浮かぶのは隅田川? それとも・・・
ほかにもビリー・ジョエルの『Just The Way You Are』なんかもあり、前2作とちょっと雰囲気の違うアルバムになっています。
Jumpin’ Jim’s Ukulele Masters Lyle Ritz Solos【楽譜本】
『Jumpin’ Jim’s Ukulele Masters Lyle Ritz Solos』はCDではなく楽譜本です。
でも楽譜だけではなくて15曲の楽譜と、その全曲が収録されたCDが付いています。
※『Jumpin’ Jim’s Ukulele Masters Lyle Ritz Jazz』という本もあります。
こちらは25曲の楽譜がありますがCDにはその中の15曲のみが収録されています。
楽譜といってもTAB譜ではありません。
なので簡単に弾けるわけではありません。
そして英語の本なので、何が書いてあるのかはよくわかりません。
バイオグラフィー、収録曲の紹介、アレンジなんかのページがあるので、読めればいろんな情報が得られそうです。
本、楽譜は難しいのでCDの紹介です。
このCD、ものすごくいいです。
模範演奏的なCDだからか、全体的にちょっと軽めな演奏でとても聴きやすい感じがします。
でもバックの伴奏なども入っていて音の厚みは本格的です。
なんとボーカル入りの曲まであるのです。
『Lulu’s Back IN Town』は上で紹介した2枚『How About Uke?』『Time…』にも収録されています。
きっとリッツの大好きな曲なんでしょうね。
他にもCD収録とは違うアレンジの曲が何曲か入ってます。
それぞれ違うアレンジを聴き比べるのも面白いと思います。
単体で音楽CDとしてリリースされていても、絶対に買いたいと思うくらい素晴らしいCDです。
キヨシ小林(Kiyoshi Kobayashi)
もしかしたら、今、日本で一番多くのウクレレレッスン本・楽譜本を出版しているのではないでしょうか?
日本のウクレレ界で知らない人はきっといないと思います。
1955年東京三鷹市出身で高田渡、なぎら健壱等のバックミュージシャンとしてプロ音楽活動を開始。
ジプシー・スイングのギタリストとしても有名でCDもリリースしています。
ウクレレ講師として多くのウクレレ大好き人間を育てていることでも有名です。
習ったことがある方もいるんじゃないでしょうか。
今回はジャズをメインにしたCD2枚と楽譜本1冊を紹介します。
ウクレレ・スィング42(Ukulele Swing 42)
『Swing 42』というのは、ジプシー・スウィングの創始者ジャンゴ・ラインハルトの代表曲のひとつ。
その『Swing 42』をアルバム・タイトルにしたのが『Ukulele Swing 42』です。
軽快なスウィングとおしゃれなアドリブソロあり、ジャカソロ全開あり、聴くのが本当に楽しいCDです。
聴きどころ満載の選曲なのですが、『レレの青い空』は2005年にNHK「みんなのうた」で流れていた曲です。
この曲はキヨシさんの作った曲で、歌っていたのもキヨシさんだったのです。
このCDではインストゥルメンタル・ヴァージョンが収録されています。
ちなみに歌ありのヴァージョンは『Daydream Believer』というCDに収録されています。
『南国の夜』は和製ハワイアンの代表曲ですが、なんとなく湿っぽい感じで、正直なところあまり好きな曲ではありませんでした。
それがキヨシさんの『南国の夜』を聴いた瞬間「カッコイイ〜!!!」ってなっちゃいました。
キヨシ節全開のアドリブソロがめちゃかっこいいんです!
CDのおまけに『レレの青い空』と『ヴァーボン・ストリート・パレード』のTAB譜が入っているのも嬉しいです。
パシフィック・スウィング(Pacific Swing)
スウィング・ジャズにハワイアン・テイストの香りをしのばせたのがこの『Pacific Swing』です。
タイトルの”Pacific”には「平和な」「おだやかな」という意味があり、このCDのテーマになっているのです。
ハワイアン・テイストは山内アラニ雄喜さんが参加していることも大きいと思います。
アラニは15曲中の7曲に、スティールギターやスラックキーギターなどで参加しています。
このCD、とにかく大好きなCDです。
スタンダード・ジャズあり、シャンソンあり、ハワイアンあり、映画音楽あり、オリジナル曲あり・・・
いろんなジャンルの音楽がキヨシさんのスウィングに味付けされて、平和におだやかに心地良い気持ちにさせてくれます。
『スウィート・サムワン』、ハワイアン・スタンダードの1曲ですが、見事にスウィングしていて気持ちいいとしかいいようがありません。
『ブラジル』はキヨシさんがライブなんかでもよく演奏している曲です。
確かハワイに行ったときも「ハワイで、ウクレレで、ブラジル!」って演ってたはずです。
ストラミングオンリーの演奏、これがまたカッコいいのです。
このCDにもオリジナル曲『淡いハワイ』のTAB譜が付いています。
CDを聴きながら練習できるという楽しいおまけですね。
ウクレレ・ジャズ(Ukulele Jazz)【楽譜本】
もう何冊ウクレレのレッスン本、楽譜本をだしているのかわかりません。
そのくらいたくさん出している中で「ジャズ」をタイトルにつけているのはあまり多くありません。
ただ、アンサンブル本には結構ジャズが入っているので、好きな(弾いてみたい)曲が入っている本を探すのも楽しいと思います。
この『Ukulele Jazz』は初版が2012年に出版され、今回また改訂版が出版されます。
僕は初版本を持っていますが、改訂版では曲数が27曲から29曲に増えているようです。
キヨシさんの楽譜本には模範演奏CDが付いていて、このCDがいいんですよね。
アレンジが本当に聴きやすくて
「こんなふうにサラッと弾いてみたい!」
「弾けたらいいな!」
って思ってしまいます。
練習のとき以外でも結構BGM的に流しっぱなしにしていることが多いです。
キヨシさんのCDに収録されている曲が何曲も入っているので、聴き比べてみるのも面白いです。
「あっ、ここを変えてる!」
「ここはこんな風に弾いているのか」
もちろんCDのバージョンとは違っているのですが、その違っている箇所がわかることが面白いのです。
模範演奏CDはウクレレ1本の音だけなのでウクレレの音が非常によくわかります。
キヨシさんのウクレレ・ジャズの雰囲気を味わうのにとてもいいと思います。
まとめ
「ウクレレでジャズ気分」ということで、3人のマイスターとCD・楽譜本を紹介しました。
ぜひ気になったプレイヤーの音楽を聴いてみてほしいと思います。
「ウクレレでジャズもいいなぁ〜」
きっとそう思っていただけると信じています!
ウクレレは弦がたったの4本しかない楽器ですが、そこから奏でられる音はジャンルを超えて魅力的なんです!
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